卒業生の活躍:浅野佑衣さん(20)写真右から2人目
【プロフィール】
一宮市立葉栗中学校出身。高校在校時はバスケットボール部に所属。卒業後日本体育大学体育学部体育学科に進学、現在3年生。大学入学後バスケットボール部に所属しながら、「集団行動」のメンバーとなる。きっかけは部活動の先輩から勧められたことなど。3年になって女子メンバーチームの副リーダーとなり責任のある立場で数々の公演に臨む。
今回は大学初の海外公演(スイス)の機会があり報告してもらった。
スイスに2週間行き、Basel(バーゼル)という都市で世界的に有名なBasel Tattoo(バーゼルタトゥー)という音楽祭に参加しました。
スイス、カナダ、イギリス、フィンランド、アメリカなどの8カ国が招待されていました。合計で13回公演しました。基本的には21時半からの公演なのですが1日2回公演する日もありました。17時半からと21時半からの日は昼の緊張感を夜に繋げるのがなかなか難しかったです。
Basel Tattoo音楽祭参加は1国1団体でしたが、初めて2団体の参加が認められました。私たち日本体育大学「集団行動」チームは、海上自衛隊音楽隊とコラボレーションをしました。海上自衛隊音楽隊の音楽に合わせての演技です。
日本での会場は普通、体育館なのですが、Basel Tattoo音楽祭は屋外でした。床はコンクリートでしたのですごく滑りました。雨が降るとさらに滑りやすくなり、最高の環境というわけではありませんでした。
13回も公演をしましたが、全て最高の演技ができたわけではありませんでした。滑ってしまったり、滑ることを恐れていつも通りに歩けなかったり、マンネリ化してしまったりといろいろなことが重なってしまいました。
みんなで喝を入れあい、演技をしていましたがやはり完璧ではなく、1本の演技の重さの大切さを全員が理解して演技することができなかったのが反省点でした。私たちは失敗をしても次の日また公演できますが、見に来て下さるお客さんはその日限りで、そしてお金を払ってわざわざ足を運んで見に来て下さっているということの感謝の気持ちが薄れてしまっていました。
そんなダメな状態が続いた際に、監督の清原先生から、「失敗を恐れるな、今までたくさん辛い練習もしてきたんだから堂々と歩いてこい。失敗してしまったらしょうがない。サッと帰ろうぜ。(笑)」というお言葉を頂いた際は、全員のガチガチだった肩の力が抜けた気がしました。そのあとの演技はそれまでと比べ、完璧ではなかったですが、全員納得のいく演技ができるようになりました。
日本で演技をする際のお客様の反応は、拍手やオーという声が多いのですが、スイスの方たちは私たちの「集団行動」を見たことがなく、物珍しいのか、1つの動き、1つの動作に対して、大きな歓声をいただき、大いに盛り上がり、演技をしていて今までに感じたことのない嬉しさがこみ上げました。演技が終わると毎回、拍手をしながら足を地面にドタドタさせ、全身で感情を出して下さるので、この上ない幸せを感じたと同時に集団行動が世界に認められたのだと思いました。最終日には、演技を終えるとスタンディングオベーションを頂き、鳥肌が立ちました。また、スイスの新聞の一面にも載せていただきその注目度にも驚きました。
日本に帰り、改めて思うのは2度と、こんな経験はできないのだということを感じました。あの2週間はとても幸せで、人を感動させることの素晴らしさと楽しさを学ぶことができました。また、外国の方はとてもフレンドリーで、電車に乗っていても目があうとニコッと笑ってくれたり、話しかけてくれたりととても心温かい人ばかりで、それと比べてしまうのはいけないのですが日本人は少し冷たいような気がしました。
そういった面で、他の国と交流をすることで自分の欠点を知ることができ、人としても大きく成長することができた気がしました。
演技以外は、ほとんど自由行動でしたのでスイスの街を観光したり自転車で国境を越えてドイツやフランスにも行ったりできました。また、アルプス山脈を見に行き、澄んだ空気と緑の美しさに圧倒され、自然の素晴らしさを感じました。
大学生活のほとんどをアルバイトや授業で過ごし、空いたほんのつかの間に大学生らしいことをしたいと何回も思いました。部活に入り、集団行動を2年間行い、学校も行き、アルバイトもしてと、なかなか自由な時間はありませんが、これが私にとっての充実した生活なんだなと思いました。今しかできないことを今のうちにやれるだけやることで自分の人生が変わり、そこに楽しさを覚えました。